Vol.35

BESS真珠

BESSは今年創設30周年とのことですが、この機会に何か言いたいこと、あったりしますか?

BIGFOOTBOY

 今年は先進国首脳会議が伊勢志摩で開かれるんだって。伊勢志摩といえば、伊勢エビ、伊勢うどん、アワビに赤福・・・っと思わず食べ物ばかり並べたけど、忘れちゃいけない、日本が世界に誇る宝石・真珠。複雑に入り込んだ英虞あご湾の穏やかな海が生み出す白い珠。ゆで玉子みたいにツルツルでテカテカ輝く宝石なんて、おいらにゃ縁もゆかりもないと思ってたけど、ある日その生い立ちを聞き知ってからは、グッと身近なものに感じられるようになった。生い立ち? そう、天然だろうと養殖だろうと、あの丸々健康そうな形の大元は、“異物”なんだって。貝の中に偶然入った砂や小石が核になってできあがったのが天然真珠。丸く削った小さな貝殻を人工的に挿入して育てたのが養殖真珠。どっちにしても、貝にしてみれば、ある日突然カラダの中に闖入ちんにゅうしてきた「アンタだれ?」的な異物。
 考えてみれば、BESSも住宅業界の中では“異物”かもしれないな。別にそれをイキがったりヒゲしたりするつもりは毛頭ないけど、どういうわけか、そんな星の下に生まれたみたい。住宅業界が「家は資産」っていうなら、BESSは「家は楽しい暮らしのための道具」だし、「効率第一」には「ムダこそ文化!」だし、「もっと便利に!」には「便利さ程々」だし・・・要は「価値観の違い」ということなんだろうけど、これが、「アメカジ系? アウトドア系?」とか「カレーのルーはご飯の横にかけるのが好き、上にかけるのが好き?」とか、趣味嗜好の違いなら大した問題にならないんだろうけど、家は社会のインフラ、単純に「価値観の違い」じゃすまない問題もある。戦後70年間、「新品こそ善」とばかり、まだ十分住めるのに、便利でキレイな最新設備をウリにして、住み替えを煽ってきた住宅業界。結果、空き家が800万戸超! BESSは創設以来、「年を経るほどに味わいが生まれて、愛着が増す家」を目指してきた。この価値観の違い、これから何十年か後、デカいんじゃないの?――大上段に「空き家問題」を語るつもりはサラサラないし、似合わないのも承知の助だけど、創設30年、異物ゆえの一家言を吐かせてもらったよ。
 そんな“異物”のBESSは、真っ白な真珠のイメージじゃないよね。あえて言えば、黒真珠かな。それも正円から逸脱したいびつな真珠。そんな真珠を「バロック真珠」と呼ぶらしいんだけど、「バロック音楽」の「バロック」も、元々は、調和を重んじる古典主義の立場から見て、「バランスを欠くまでに動的な音楽」に対する蔑称だったんだって。「バロック真珠」も、余りに生命力がありすぎて球形になれずに歪んだ真珠。一般的には避けられるけど、この世に二つとない個性として、愛好家にはタマらない魅力がある。

――誰かに似てるかな。

「吐露byBESS」
啄木鳥通信で連載中!

「吐露byBESS」、啄木鳥通信で連載中!

この「吐露byBESS」は、BESSの季刊誌「啄木鳥通信」でも連載中です。
「吐露」のほかにも、BESSにつながる特集記事や、商品開発の裏話など、BESSの新たな一面が発見できる、読み応えたっぷりの記事が満載。全国の展示場で登録していただくと、毎号ご自宅にお送りいたします。ぜひ、お近くの展示場でお申し込みください。