Vol.38

ロクヨン?ヨンロク?

家の計画はまだ先ですが、季節ごとにBESSの展示場に遊びに行っています。この時分、展示場でのお奨めの過ごし方、ありますか?

BIGFOOTBOY

 またこの季節がやってきたね。鼻をくすぐる甘い湯気、じんわりと舌に広がる独特の風味、喉に(から)みながら(したた)って胃の腑に染み入る感覚・・・体がぽっと温まって、思わずほっと一息。クリスマス、正月、新年会。いろんな場面で「何にする?」と聞かれるけれど、おいらはいつでも焼酎のお湯割り派だね。
 何がいいかって? 穀物の旨味がギュッと凝縮された濃厚な味と香りはもちろんだけど、焼酎とお湯の、なんともいい加減な関係・・・それがおいらの性分に合ってるみたい。
 いい加減な関係? そう、ウィスキーの水割りと比べてみてよ。バーかなんかにまぎれこんだ日にゃ、カウンターの向こうの澄ましたバーテンダーが、銀色に冷たく輝くメジャーカップで、きっちりウィスキーの量を計って、一滴たりともまけちゃくれない。琥珀色の液体がカップの(へり)につくかどうかのタイミングで、ボトルの頭を無慈悲にクイッと天井に向ける。水をグラスの八分目まで。長い耳掻きみたいな棒で、氷の音を響かせる。気取った店じゃ、シングルは指一本、ダブルは二本だなんて、そんなセリの手やり●●●みたいなこと、誰が思いついたのかね。だったら、おいらの指を貸すから、それで計ってほしいね。昔からグローブみたいな手って言われて、掴み取り競争じゃ負けたことがないからね。
 その点、焼酎のお湯割りは大らかでいいよ。ロクヨン(焼酎6:お湯4)とかヨンロク(4:6)とか、ざっくりした割合いでゴーゴー(5:5)! 好みと気分によって自由自在。呼び方も威勢がいいやね。別にメジャーカップで計るわけじゃないから、ヨンロクがロクヨンになったって、天と地がひっくり返るわけじゃなし、実はロクヨン、ヨンロクって語呂がいいから言ってみただけで、(はな)から味や濃さなんておまかせだったりして。いい加減だね~。でもひとつだけ、おいしいお湯割りのためには(おきて)がある。お湯が先。主役の焼酎は後から。奥ゆかしいね~。そうすると、自然に対流がおきて、耳掻き棒でかき混ぜなくても、濃さや温度が一定になって、まろやか~なお湯割りのできあがり! 自然の偉大さに乾杯!
 この大らかさ、なんとなくBESSの家の暮らしに似てるかな。泥のついたマウンテンバイクを家の中に持ちこんでも、土間だからへっちゃら。薪の木くずが散ってもOK。床の上でカート転がしてキズがついても気にならない。DIYで釘を打ちまちがって壁に穴があいても思い出のひとつに。隣のクラックが笑ってる。それもこれも、やっぱり無垢材いっぱいの本物の木の家だからなんだろうな。木の香り、ぬくもり、手触り。中でも、自然が生み出した不思議な模様の木目。あの微妙に不規則なリズムは「1/fのゆらぎ」で、ゆったりとリラックスした気分をもたらしてくれる。薪ストーブの炎のゆらめきも1/fのゆらぎ。そういえば、お湯割りの湯気も1/fのゆらぎだって。

展示場にお湯割りはないだろうけど、コーヒーの湯気も1/fだろうから、この季節、薪ストーブの前でコーヒーを楽しんで、夢見ごこちにひたるのなんて最高の贅沢じゃないかな。

「吐露byBESS」
啄木鳥通信で連載中!

「吐露byBESS」、啄木鳥通信で連載中!

この「吐露byBESS」は、BESSの季刊誌「啄木鳥通信」でも連載中です。
「吐露」のほかにも、BESSにつながる特集記事や、商品開発の裏話など、BESSの新たな一面が発見できる、読み応えたっぷりの記事が満載。全国の展示場で登録していただくと、毎号ご自宅にお送りいたします。ぜひ、お近くの展示場でお申し込みください。