自然に近い暮らしを自らの手でつくっていく。その思いを叶える道具のような家〈colocal連動企画〉

Nさんご家族

エリア:山梨県
シリーズ:COUNTRY LOG
家族構成:5人

子どもが自由に遊べる広葉樹の森で

今回訪れたのは、山梨県北杜市にお住まいのNさん家族。2021年に千葉から移住し、広葉樹に囲まれた森の中にカントリーログを建て、現在3人のお子さんとともに暮らしています。

Nさん一家。長女は今春小学校に入学し、バスケットに打ち込んでいる

NさんがBESSに憧れを持つようになったのは、社会人になりたての頃にたまたまBESSの展示場に訪れたことがきっかけだったといいます。

「カントリーログのビジュアルにビビッとくるものがあったんです。もう一目見て、いつかこんな家に住もうって決めました」

そこで抱いた「いつかBESSの家を建てたい!」という思いはしばらくの間は憧れのままでしたが、ある出来事から本格的にBESSの暮らしの実現を考えるようになります。

「僕が体調を崩して重度のアトピーに悩まされたときがありました。ストレスが原因だったわけではないんですが、多分暮らしが雑だったんでしょうね。それから食事や生活を見直すようになり、次第に都市から離れて自然の中で丁寧な暮らしをしていきたいと強く思うようになったんです」

1階のリビング・ダイニング

BESSでの暮らしを現実的に考えるようになっていったNさん夫妻ですが、土地探しは難航したそうです。
そしてふたり目の子どもの出産、育児のタイミングで世の中はコロナ禍に。

広葉樹の森が好きだったというNさん夫妻。季節によって色合いを変える森の絶景に今も感動するという

「あの頃は子どもを公園に連れていくのもダメだし、賃貸だから自分たちの敷地で外で遊べるスペースもないし、保育園にも通えませんでした。自分たちだけの家や庭があれば、子どもをもっと自由に遊ばせられるのになと。それが土地探しの私の原動力になりました」

「移住するなら今しかない」。そう決意を固め、夫婦の希望だったナラやクヌギといった広葉樹の森に囲まれた今の土地に運良く出合うことができ、2021年に山梨での暮らしが始まりました。

“不常識”な家のコンセプトに惹かれて

Nさん夫妻がカントリーログを選んだ大きな理由は、そのコンセプトに惹かれたからでした。

「当時カントリーログは『不常識人』というコンセプトを打ち出していました。常識なんかに囚われない、自分の信じる道をいく。そんなアウトローなコンセプトに共感しました。そもそも本質は、自分たちの軸で考えて生きることだというメッセージも刺さりました」

キッチン周り。天井からぶら下がっているドライフラワーは妻・まどかさんの手づくり

Nさん夫妻はカントリーログの不恰好な雰囲気にこそ惹かれたと語ります。

「確かにほかのモデルと迷いはしました。でもこの家の暮らしに慣れていけばいいと思ったんです」(まどかさん)
「この家の少し暗い感じがすごく気に入っています。不恰好だけど芯がある家の佇まいが、僕にとってはすごく心地よかったんです」(恭平さん)

機械を使わず手斧での薪割りにこだわりがある恭平さん。イチローのバッティングフォームなども参考にしながら薪割りのフォームを固めていったという

家の中でのお気に入りの場所は薪ストーブがあるリビングだと語るNさん夫妻。Nさん一家が暮らす場所は標高が約1000メートルと高く、かなり寒いですが、暖房は薪ストーブだけ。しかしそれだけでも家全体を暖めてくれるそうです。

「ログハウスだからか、一度部屋が暖まれば、ストーブの火を消してもとても暖かいです。外がマイナス10度でも、夜に薪を入れておけば朝には火が消えていても室内は20度ぐらいに保たれています」

家の中でのお気に入りの空間は薪ストーブがある一階の空間

焼き芋も時々つくるそう

Nさん家族がBESSの家で成し遂げようとした丁寧な暮らし。その実現のために、カントリーログはピッタリの家でした。家を建てる際にオプションはほとんどつけず、家の中の間仕切りもできるだけ削ったそうです。小さくシンプルに。暮らしに必要なものは自分たちの手でつくっていこうと考えました。

2階の窓際にカウンターテーブルを自作。窓からは森がみえる

2階の天井には洗濯物を干すスペースとしてワイヤー式の物干し竿を設置

BESSでの暮らしがふたりにもたらした変化

工作が趣味だという恭平さん。家の横に作業小屋を設け、生活の必要なものから遊び道具まで、さまざまなものをつくっています。洗面台や食器棚など生活に必要な設備や家具も恭平さんの手によってつくられているのです。お気に入りの自作の家具を尋ねると、食器棚だと答えてくれました。この食器棚には、自宅前の森から拾ってきた枝が材料の一部として使われているとのことで、自然とともに暮らす生活を体現しています。

洗面台も自作

木の自然な形状をうまく利用してフックに

最近ではバスケットボールを始めた長女のために、木製のバスケットリングもつくったといいます。また、知り合いのお子さんのために乳歯入れをつくったり、地域のお祭りで木製のステッキを塗装するワークショップを開いたりもしています。

恭平さんがバスケットを始めた長女のためにつくったリング

乳歯入れ。娘の友だちの親にプレゼントしたことも

木でつくった蝶ネクタイ。恭平さんのお母さんも趣味でものづくりをしていたらしく、その影響は大きいといいます

そうして自身のものづくりを通して交流が広がっていくことで、恭平さんのなかにはある変化が生まれたそうです。

「昔は人としゃべることがあまり得意ではなかったんですけど、ここで暮らしはじめてものづくりもいろいろ幅広くするようになっていったら、人とのつながりも増えていきました。人間としての強さが引き出されていった感じがします」

ウッドデッキにテーブルを持ち出して外での食事時間

まどかさんにも大きな変化がありました。子どもにアレルギーがあったことがきっかけで、より食事にも気を遣うようになりました。有機農業をしている農家さんでパートとしても働いていて、食への関心や知識は広がっていくばかり。最近では自身がつくったお菓子をマルシェに出店したり、お店に置いてもらったりもしています。

「最初はそこまで好きではなかったお菓子づくりですけど、なんでも真剣にやってみると楽しいんだなってことに、この暮らしをして気づかせてもらいましたね」

まどかさんの料理をお手伝い

昔は料理が苦手だったというまどかさんですが、今では手料理も慣れたものに。キッチンにはさまざまな調理器具が美しく整頓されています

やりたいことがどんどん溜まっていく

子どもたちも今の環境でのびのび育っています。家の中を元気に動き回り、家の外にもひとりで出ていき、落ち葉の絨毯が広がる森の中を何かおもしろいものがないかと歩き回る。2人目が生まれ、コロナ期の窮屈な子育てがきっかけで移住を決意したNさん夫妻。ここでの自由な暮らしがなければ、3人目の子は生まれてなかったといいます。「家族が増えること」を前向きに考えることができる、理想的な家でした。

「子どもの自由な発想を引き出す家ですよね。どこにいても遊び場になる。『自由にどうぞ遊んで』といえるのはこの家ならでは。東京の賃貸だと、家の中を自由に駆け回ることも難しいですから。もちろん子どもが壁とか床を傷つけたりしますけど、その傷が家族の歴史にもなります。まだ住み始めて3年ですけど、既に『あのときの傷だなあ』って懐かしく思うことがあります」

階段も食事の場になる

柱に刻まれた子どもたちの身長の記録

デッキに出て食事をすることも多く、寒い日であっても子どもたちは外に出て食べたい!と言うそうです。この日はデッキでおにぎりをおいしそうに口一杯に頬張っていました。

「今の生活が一番楽しい、ほかの場所ではもう住めないです」と恭平さんは笑顔で語ります。

しかし、まだまだ理想の暮らしへの道のりは長いそうです。
恭平さんはこれから挑戦したいことを「やりたいことリスト」としてノートに書きまとめました。すると、北杜市に引っ越してから始めたという「バスケット教室の時間をもっと増やしたい」や「子どもを対象にした運動教室を開きたい」、「サウナ小屋を建てたい」といった自由な発想がどんどん浮かんできたそうです。

「一番大きな夢は『自給自足を実現させること』。最近は裏の土地で自然農業をやるための畑づくりにも取り組んでいますし、いつかはエネルギーも自給できるようになれたらなんて思っています。自分たちの手で生活に必要なものをつくりながら、何にも依存しないで生きていけたらと思いますね」

どこまでも地に足をつけて、自分たちの手で暮らしをつくり上げていくことを目指します。利便性や効率といった言葉に流されず、自分の生き方を貫きたいと考えたとき、この“不常識な”家は心強い存在になると、Nさんは語ります。

「まだまだ僕らが目指す丁寧な暮らしは完全ではないですけど、一歩ずつ理想の暮らしを叶えていきたいと思っています。そのときに僕らを支えてくれるのがこの家です。この家には明確な軸があって、その軸に沿って生きていくのが僕らにとってはとてもしっくりくる。この家は僕らの思いを叶えて、寄り添ってくれる道具でもあるんです」

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ローカル・地域がテーマのWebマガジン「colocal」でも、Nさんご家族の記事を読むことができます。
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COUNTRY LOG

削り出しの無垢材を積み上げたCOUNTRY LOG(カントリーログ)。
剥き出しの本性で好きなように暮らしをつくればいい。

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