北欧 ログハウスの歴史

フィンランドのログハウス

フィンランド・1840年頃の農家
フィンランド・1840年頃の農家
フィンランド・セウラサーリ博物館にある農家
フィンランド・セウラサーリ博物館にある農家
現在、最もログハウスの生産量が多いのが、フィンランドです。ログハウスには、ハンドヒューンと呼ばれる手作りのログハウスとマシンカットと呼ばれる機械加工のログハウスがありますが、世界の主流となっているのが大量生産に向くマシンカットのログハウスです。マシンカットログハウスが最初に生まれたのが、フィンランド。断面が四角い形の角ログは1958年、丸い形の丸ログは1962年に誕生しました。
もちろん、マシンカットログハウスが生まれる前は、手作りのハンドヒューンログハウスが主流。厳寒のラップランド地方でじっくり時間をかけて育った目の詰まった丸太を使用し、隣国であるロシアと同様、住宅から教会までさまざまなログハウスが造られてきました。

スウェーデンのログハウス

スウェーデン・南部ナルケ地方の領家
スウェーデン・南部ナルケ地方の領家
スウェーデンの店舗。珍しい草屋根
スウェーデンの店舗。珍しい草屋根
古いログハウスが野外に展示されている野外博物館は北欧各国にありますが、その中でも最も古く、世界初の野外博物館といわれているのが、スウェーデン・ストックホルムにあるスカンセン野外博物館。18世紀から20世紀初頭までのスウェーデンの古い建物が集められており、そのほとんどがログハウスです。極北のラップランドに住むサーメ族の住居から南スウェーデンにあるスコーネ地方の農園まで160以上のログハウスが展示されています。
これらの建物を見ていても、スウェーデンでは古くからログハウスが使われていたことが分かります。スウェーデンのログハウスの多くは赤茶色の塗料が外壁に塗られることが多いのですが、これも昔から行われていた耐久性を高めるための仕上げ方法。鉄分を多く含んだ土を焼いて作るこの塗料は、鉄分の多さから自然に赤茶色になるのです。

ノルウェーのログハウス

北欧を中心に居住したヴァイキング※は海賊と思われているようですが、平時は農業や漁業などに従事しており、特に手工業では類まれな技術力をもっていたようです。その技術は建築物にも生かされ、ノルウェーのログハウスはその仕上がりも素晴らしいものでした。8世紀から300年以上にわたるヴァイキング時代、世界各国を飛び回っていたノルウェー人は、いろいろな国の木造技術を習得し、ヴァイキング船の造船に生かしました。そして、その造船技術をログハウス製作に生かし、より精度が高いログハウスを造りました。昔から伝わる「熊のタイコ腹」と呼ぶ楕円形のログ材の加工断面を見ると、ノルウェー人の加工の技術力に驚かされます。
※ヴァイキング…… 8世紀末から11世紀中頃まで、ヨーロッパなどに侵入し、略奪や商業、植民を行った北方ゲルマン族のこと。ノルウェー系ヴァイキングは、スコットランド、アイスランドなどを植民。スウェーデン系ヴァイキングはロシア、コンスタンチノーブル、デンマーク系ヴァイキングは中部イングランド,北フランスを自治地域としました。ヴァイキングによる海外進出の結果、各国の商業や都市機能が発展したといわれています。